No.103 ふたつの御田植え祭
更新日:2020年7月12日
本年は年初から新型コロナウイルス感染症の対策に忙殺されておりますが、市内ではふたつの御田植え祭が実施され、その両方に関わることができました。田植えによって自然を感じ、ほんのひととき、ほっとすることもできました。
令和2年5月24日(日曜日)に坂浜の休耕田をお借りして実施されたのは「みんなのFUJISAN地球フェスタWA2020東京」というイベントの一環で、この実行委員会が主催する御田植え祭でした。例年富士山会場と毎年巡回するそれ以外の場所で実施されているそうです。本年度は東京大会と決まっており、稲を作るなら稲城が良いとのことで、坂浜の田んぼが選定されたことから、地元市長の私が大会会長を仰せつかりました。
御田植え祭当日は、緊急事態宣言が発出中で、一時は開催が危ぶまれましたが、感染症予防対策をした上で、規模を縮小し実施されました。関係者の懸命なご尽力により、休耕田を草刈り・田起こし・代掻きなど一連の田づくりをしていただきましたことに感謝いたします。
このイベントの実行委員会の事務局を務める「NPO法人地球と共に生きる会」は雄大な富士山麓で青少年健全育成、自然環境保全、食の改善と確保といったテーマを掲げて活動されているとお聞きしています。本来は、旧宮家の朝香宮朝香誠彦氏がお越しになり、田植えに参加する予定でしたが、感染症対策で規模縮小した関係でご欠席となり、とても残念でした。
我が国は瑞穂の国と呼ばれ、古来稲作を中心にムラを作ってきました。米を作るということは、単なる食糧生産という意味を越えて、生活習慣、芸能・文化の創出などに関わり、私達の心の深い部分まで浸透する精神文化を形作っています。私が子供のころは、食事の際におかずを残しても、お米の一粒も無駄にしてはいけない、綺麗に食べなさいという家庭教育を受けました。単に食べ物を大切にするというだけではなく、米を作るお百姓さんの苦労を考えて、感謝して食べなさいという教えでした。
今回は規模縮小とはいえ、地元の親子に参加いただき、小さな子供達も泥だらけになって最後まで手植えをしてくれました。私も地下足袋を履き、最後まで手伝わせていただきました。
令和2年6月5日(金曜日)には、市内の別の田んぼ(非公開)で、令和2年度宮中新嘗祭(にいなめさい)献上米の御田植え祭が実施されました。稲城市が選ばれたのは15年ぶり2度目ということです。献穀田の園主は大役ですが大変な名誉でもあります。秋には宮中献穀と同時に大國魂神社・明治神宮・伊勢神宮に奉納されるそうです。こちらの田植え祭は式典に列席のみで、実際に田植えをしたのは、JA東京みなみ代表理事組合長、田男役の園主、地元天満神社奉賛会長、早乙女役の園主奥様でした。
両日とも梅雨の合間でしたが雨も降らず、晴天の真夏日の中で開催でき、二度の田植え祭に参加できたことは感無量です。
多摩ニュータウン開発や土地区画整理の進展で、街並みも変わりつつある一方、稲城市には里山や農地も残されています。身近に田植えができる環境があることは、素晴らしいですね。両方の田んぼとも、無事に育ち、秋には収穫祭ができますよう祈念いたします。
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