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常楽寺(じょうらくじ)の阿弥陀如来(あみだにょらい)及び両脇侍像(りょうわきじぞう)

更新日:2017年6月27日

東長沼にある天台宗てんだいしゅう古刹こさつ常楽寺には、東京都指定文化財の阿弥陀三尊像あみださんぞんぞうが安置されています。山門さんもんを入って右手に建つ阿弥陀堂あみだどう(本堂)の中にあって、高勝寺観世音菩薩像こうしょうじかんぜおんぼさつぞうとともに市内でも最も古い仏像として知られています。
三体の仏像は、ともに桧材ひのきざい寄木造よせぎづくりで、像高は、中尊阿弥陀如来坐像ちゅうそんあみだにょらいざぞう78.4センチ、右脇侍観世音菩薩立像みぎわきじかんぜおんぼさつりゅうぞう92.7センチ、左脇侍勢至菩薩立像ひだりわきじせいしぼざつりゅうぞう92.3センチです。
中尊の阿弥陀如来坐像あみだにょらいざぞうは、右足を上にした結跏趺坐けっかふざ(両足を交差させて組み、両足の甲をそれぞれの反対側の股の上にのせて坐ること)の型で、右手はてのひらを前に向けて第一・二指をまげ、左手も掌を上に向けて第一・二指をまげています。螺髪らほつ如来像にょらいぞうの頭部につけられた粒状つぶじょう巻毛まきげ)は切付きりつけで、眼は彫眼ちょうがんで付けられています。衲衣のうえは右肩から腹部にかかり、大腿部から脚部を包んでいます。全体に布下地の上に漆箔しっぱくうるしを塗った上に金箔きんぱくを置くこと)がほどこされていますが、胸部は下地とともに漆箔しっぱく剥落はくらくが目立ちます。
構造は頭部体部を一木いちぼくから彫り出し、三道さんどう(首にある三本の溝)の下で割首わりくび(首の下にノミを入れて頭部と体部を割り放すこと)をし、内刳うちぐり(像内部をり取ること)をほどこしています。頭部の耳のうしろ部、体背面たいはいめん、右腕の肩・肘・手首、左腕の袖口と手首で別材をはぎ合わせています。
伏目ふしめのおだやかな表情などに藤原時代ふじわらじだいの特色を見ることができますが、螺髪らほつがやや大粒なこと、衣文線えもんせんがやや密で、大小のひだを交互に刻み出す等の点に古い様式を残しています。制作年代は12世紀前半頃の地方作と考えられます。
阿弥陀如来像あみだにょらいぞうの左右に置かれる両脇侍りょうわきじは、観世音菩薩像かんぜおんぼさつぞう勢至菩薩像せいしぼさつぞうで、ともに立像りゅうぞうです。右脇侍みぎわきじ観世音菩薩像かんぜおんぼさつぞうは台座上に直立し、右手は掌を前に向けて垂下すいかし、左手は曲げて蓮華れんげを持っています。頭部は宝髻ほうけい(まげ)を結い、眼は彫眼ちょうがんで作られています。条帛じょうはく(肩から脇にかける布)と天衣てんねをまとい、腰より下は裳をつけ腰布を付けています。全体的に布下地に漆箔しっぱくをほどこしています。
構造は耳のうしろとかかとのうしろを結ぶ線で前後にはいで、内刳うちぐりをしています。
左脇侍ひだりわきじ勢至菩薩像せいしぼさつぞうは、右手を曲げ左手を垂下して立つほかは、観音像とほぼ同じ形態・構造をしています。持物と天衣てんね遊離部ゆうりぶ、足先は、両像ともに後世になって作ったものと考えられます。
両脇侍りょうわきじともに技法や顔の表情、特に下まぶたの線が不明瞭なところなどが中尊と共通しており、中尊と一具いちぐの作とみられます。
調査では、中尊像内に納入されていた修理銘木札しゅうりめいきふだ5枚のうちの1枚に「承応じょうおう三年十月、仏師ぶっし山口庄平衛」の墨書銘ぼくしょめいが確認されています。江戸時代初期の承応じょうおう3年(1654年)に修理が行われたことが知られます。
三体ともに若干整形の美を欠くところもみられますが、形態のとり方、体部、衣文えもんなどはよく整い、技巧的に優れた地方作の仏像といえます。     

このページについてのお問い合わせ

稲城市 教育部 生涯学習課
東京都稲城市東長沼2111番地
電話:042-377-2121 ファクス:042-379-0491

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