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No.152 パリ2024オリンピック・パラリンピックを振り返って

更新日:2024年10月12日

パリ・オリンピック
 
日本時間で7月27日から8月12日までの17日間で開催された今大会は、国際オリンピック委員会(IOC)が2021年に示した改革指針「アジェンダ2020+5」に沿って、環境配慮・サスティナブル(持続可能性)を前面に掲げて開催されました。パリ大会組織委員会はSDGsを強く意識し、温室効果ガス排出量をコロナ禍前の12年ロンドン大会や16年リオデジャネイロ大会から半減させることを目指し、市街地では公共交通機関のみならず自転車利用も促し、既設も含めて415キロもの自転車道・専用レーンで会場を結んだそうです。
 
気球型の聖火台もその象徴で、五輪史上初めて燃料を使わず水と光を組み合わせて炎が表現されました。競技会場の95%が既存施設または仮設施設で、再生可能エネルギーで電気を賄い、海洋汚染を招くプラスチック製品削減にも取り組まれました。選手村ではエアコンの代わりに地下水による冷却システムが採用され、食事も近隣で採れる野菜を多用したようです。
 
しかし、環境面に重点を置くあまりにアスリートには不便や我慢を強いたこととなり批判も浴びました。「熱くて寝られない。食事もおいしくない。タンパク質も不足している。」など不評だったようです。日本を含めた一部の選手団は、組織委員会を通じて調達した簡易エアコンでしのいだそうです。
 
今回特に注目を集めたのは、101年前に遊泳禁止になったセーヌ川の水質を改善し、トライアスロンなどの舞台に使用したことでした。大会後もレガシーとして残そうと、大金をかけて水質浄化に取り組んだものの、参加選手が嘔吐おうとや下痢を発症し、体調不良になったりその後のレースを棄権したりしてしまいました。
 
前回、コロナ禍で大きな制限を受けた東京大会では、感染対策や環境対策に批判が絶えず、開催反対も大きな運動になっていましたが、パリ大会が始まってみれば、東京大会でのオペレーションの方が素晴らしかったと再評価される意見もあったようです。
 
昔は「オリンピックは参加することに意義がある」と言われましたが、昨今の日本選手団の強化は目覚ましいものがあり、今では勝ちに行く大会となってきているように感じます。
 
日本選手団は、今大会に金メダル20個・銀メダル12個・銅メダル13個の合計45個を獲得しました。金メダル数はアメリカ・中国に次いで第3位、合計数はイギリス・フランス・オーストラリアに次ぐ第6位となり、海外開催の五輪では過去最多で、金メダル数は日本オリンピック委員会(JOC)の掲げた目標数に達しました。今後の日本選手団のさらなる活躍に期待します。
 
一方で今大会は、ロシアのウクライナ侵略、イスラエルのパレスチナ自治区ガザ等への攻撃など、世界各地で紛争が続く中での開催となり、国連決議の「五輪休戦」を無視する大国にどう対処できるかという課題が残りました。
 
 
パリ・パラリンピック
 
日本時間で8月29日から9月9日までの12日間で開催されました。
 
開会式の行われたコンコルド広場は、フランス革命の舞台ともなりましたが、国際パラリンピック委員会(IPC)のアンドルー・パーソンズ会長は、「革命の広場から今度は『包摂』という違いに価値を見いだす革命を起こしたい」と発言され、開会式で「平和!」と叫び、「未だに戦争を終わらせることができていないとは、人類の恥だ」と挨拶されました。
 
今大会では、オリンピック同様に日本選手団の活躍が目覚ましく、金メダル14個・銀メダル10個・銅メダル17個の合計41個を獲得しました。
 
稲城市での大きな話題は、市内出身・在住など縁故者が三人も出場したことです。
 
自転車女子個人ロードレースの杉浦 佳子選手は、「最年少記録は二度と作れないけど、最年長記録はまた作れる」と発言したとおり有言実行で、東京大会以来二連覇となる金メダルを獲得しました。
 
稲城市ホームタウンアスリートに認定した萩原 直輝選手は、ゴールボール男子日本代表チームの一員として出場しました。7月23日に地域振興プラザで開催した壮行会では、本人が金メダルを目指すと明言しておられましたが、その言葉どおりの成果でした。
 
同じく稲城市ホームタウンアスリートに認定した七野 一輝選手は、卓球(車いす)男子シングルスと男子ダブルスに出場しました。いずれも準々決勝まで進み惜しくも敗退となりましたが、それぞれ5位入賞を果たしました。
 
近年のパラリンピックでは、競技の普及に伴って選手のレベルが飛躍的に高まり、緻密ちみつな戦略が不可欠となっているようです。
 
ナショナルトレーニングセンターで長期合宿を行い、専門家の指導で計画的にパワーアップを図ったことが成功の要因になっています。
 
パラリンピック日本代表選手団の田口 亜希団長は、大会を総括する記者会見で「自身の限界に挑み、パラアスリートの無限の可能性を体現した」と、日本選手団の活躍を評価しました。
 
東京大会を契機に、企業がパラリンピックのトップ選手を雇用する機運も高まり、収入面で不安を抱えずに競技に取り組める選手も増えてきたようです。
 
今大会では、稲城市初のパラリンピアンの活躍に感動をいただくことができました。ありがとうございます!引き続き市民皆で応援してまいりましょう。

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東京都稲城市東長沼2111番地
電話:042-378-2111 ファクス:042-377-4781

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