No.119 再犯防止推進計画の策定と再犯防止シンポジウム
更新日:2021年11月28日
わが国の刑法犯の認知件数は、平成8年以降毎年戦後最多を記録し、平成14年にピークを迎える状況にありました。国では平成15年に犯罪対策閣僚会議を設置し、主に犯罪の抑制を喫緊の課題として取り組んだ結果、平成15年以降は連続で減少しています。
稲城市でもその当時、同様に市内の犯罪発生が増加していたことから、平成17年に「安全・安心まちづくり推進協議会」を発足し、多摩中央警察署・多摩稲城防犯協会・市役所のみならず、自治会をはじめとする地域の各種市民団体にも参加いただき、協働による積極的な防犯活動を推進してきました。
その結果、市内の犯罪を大きく減らすことができ、令和2年の刑法犯の認知件数の総数が年間304件、都内23区・26市で第3位に、人口千人当たりの刑法犯認知件数が3.32件、同第2位となり、治安の良い街となってきました。
しかし、犯罪総件数が減少の一途をたどる一方、検挙者に占める再犯者の割合は全国的に一貫して上昇し続け、最近ではこの再犯者率が約50%にもなっています。
そこで、平成28年12月には「再犯の防止等の推進に関する法律」が制定されました。この法律の規定により、政府は「再犯防止推進計画」の策定を義務付けられ、都道府県・市町村は「地方再犯防止推進計画」を策定する努力義務が定められました。
こうした中で、令和元年8月には国から「地方再犯防止推進計画策定の手引き」が発行され、同年7月には「東京都再犯防止推進計画」が発表となり、稲城市における計画策定も課題となってきました。
ところで、罪を犯した人が償いを済ませた後に再び社会に受け入れていく支援をする保護観察は、国家公務員である保護観察官とボランティアである保護司が協働して行っています。稲城市が属する東京保護観察所の管轄区域は、日野・多摩・稲城保護区となっており、保護司会も同じ管内で連携して活動しています。 再犯をしてしまう者の全てが保護観察処分の対象とは限りません。しかし私は、再犯防止推進計画を策定するにあたって日頃から現場で再犯防止の支援もしてくださっている保護司の先生方と連携をとる必要性を感じました。
そこで、保護司の参加と連携を踏まえ、同じ保護区である日野市・多摩市とも共同で再犯防止推進計画の策定を検討してはどうかと両市長に提案したところ、快く承諾していただきました。
こうして令和元年8月に3市共同による再犯防止に向けた計画策定検討会を稲城市役所において開催し、以後協議を重ねてきました。
今回は残念ながら、それぞれの市において行政計画の策定手続きが異なる等の理由により、3市の共通計画そのものを策定することはできませんでした。しかし、検討の過程では、日野・多摩・稲城地区保護司会の先生方に加わっていただき、本年1月には計画を策定するにあたっての3市の共通理念としてまとめることができました。
今後、この共通理念に基づいて3市それぞれの再犯防止推進計画を策定することとなりますが、こうした近隣市との共同による計画策定の検討作業は類を見ないものであり、広域行政連携、広域市民連携の好事例となったのではないかと自負しております。 そして、この取り組みを進めるため、10月29日に日野・多摩・稲城3市合同による再犯防止シンポジウムを、多摩市関戸公民館をお借りして開催しました。
基調講演とパネリストには元厚生労働事務次官の村木厚子氏、講演とパネリストには受刑者求人誌「チャンス!」を創刊された株式会社ヒューマン・コメディ代表の三宅晶子氏、ファシリテーターには国士館大学教授の辰野文理氏をお迎えして、盛大に実施いたしました。
今後は3市連携により、犯罪をしない・させない、治安の良い街づくりを進めるとともに、保護司会とも連携し、再犯防止の推進に努めてまいります。
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