最終更新日:2023年4月12日
今年も3月開催の第1回市議会定例会で当初予算が可決成立しましたので概要をお伝えします。
令和2年以降、新型コロナ拡大への対策として対面での接触を控える人流抑制が推奨されたこと等により経済活動が大きく低迷し、自治体での財政も影響を受けることが予想されました。そのため、令和3年度当初予算編成時に「財政危機アラート」を発出し、緊縮型財政運営に取り組みました。
しかし幸運なことに、稲城市では当初心配した市税収入の落ち込みがなく、令和4年度当初予算編成ではアラートを解除することができました。今回、令和5年度当初予算編成にあたっては、令和4年度の決算見込み、令和5年度の予算見込み共に市税収入が堅調な伸びを示しております。
これだけを見るとコロナ禍を脱したかのようにも思えますが、ウイルスそのものが消滅したわけではなく、今後どのように変異していくのかも予断を許しませんので、引き続き緊張感をもって行財政運営に努めてまいります。
令和5年度では、(1)新型コロナ拡大防止対策の継続、(2)物価上昇対策、(3)第五次稲城市長期総合計画における各種施策の取り組み、(4)市民の安全を最優先とした防災減災対策の4点を基本として予算編成を実施しました。
令和5年度一般会計予算は対前年度8.7%、31億2,800万円の増となり、総額391憶9,500万円は過去最大規模となりました。
歳入では、歳入総額の42.5%を占める市税が納税義務者の所得増及び新築家屋の増等により3.6%の増、総額で過去最大の166億円を超える見込みです。堅調な消費に支えられた地方消費税交付金が17.1%、約3億2,000万円の増となる一方、これらの影響により地方交付税は46.0%、約4億円の減となりました。
歳出では、生活保護費、障害介護給付費、高校生等医療費助成等により扶助費が増、南山小学校の増築、第二中学校の改修等により投資的経費が増、プラスチックごみの分別収集・再資源化事業、公共施設の光熱費高騰等により物件費が増、土地区画整理事業の推進等により繰出金が増となり、歳入同様に対前年度8.7%の増となりました。
本年度の主な工事は、多3・4・12号読売ランド線改良、南山小学校校舎増築、発達支援センター分室整備、第二中学校屋上防水及び外壁改修、大丸谷戸川排水樋門電動化、南山東部地区公園整備、消防団第三分団詰所改修等で、これらを含めた工事関連経費の総額は約20億円となり、今年度の予算規模が過去最大である要因のひとつとなっています。
次に政策課題ごとの特徴的な予算を紹介します。
子育て支援関連
学童クラブの需要増に対しては南山小学校の学童クラブを増築し、第三文化センターでは学童クラブを児童館と併せて民営化し、利便性を向上させます。第三小学校では校舎建替えに向けて校内に学童クラブを設置することを検討します。放課後子ども教室は、希望者に対しておやつの提供と午後6時までの利用時間延長を全校で実施します。子どもの医療費助成は、東京都の制度に準じて対象を高校生の年齢まで拡大します。
高齢者支援関連
平尾小学校の普通教室増加に伴い、ふれあいセンター平尾が平尾団地商店街に移転する経費を補助します。認知症高齢者グループホーム・看護小規模多機能型居宅介護の併設型事業所を南山東部地区に整備します。
障害者支援関連
入所施設から地域移行する重度の障害者を受け入れるグループホームに経費補助するとともに、ヘルパー人材不足に対処し、人材育成のため雇用や資格取得等に補助を行います。旧第四保育園施設を改修して発達支援センター分室・教育相談室分室を開設すると共に、重症心身障害で医療的ケアを必要とする方の通所事業を開始します。
社会福祉関連
福祉センターを公共施設予約システムの対象に追加し、利用者の利便性向上を図ります。
教育関連
小学校夏季休業期間中の水泳指導に外部指導員を導入、中学生を対象にプログラミング学習教材を試行導入、小中学校にスクールソーシャルワーカーを増員、不登校等の課題を抱える児童・生徒への訪問支援等に向けて体制を強化します。昭和48年6月に開館した公民館・図書館の50周年記念式典等を実施します。文化財のデジタルアーカイブズ化を実施し、文化財データベースのWebサイトを開設します。南山小学校では児童数増加に対応して校舎増築工事を実施します。第二中学校では校舎の経年劣化に対応し、屋上防水と外壁の改修工事を行います。
環境対策関連
今議会冒頭の施政方針において、カーボンニュートラル宣言を表明しました。これに伴い、今年度中に市のカーボンニュートラル推進計画を策定し、可能な限り全ての公共施設に太陽光発電設備を導入し照明をLEDに切り替えると共に、一般住宅のZEH化(ゼロエネルギーハウス化)に資する補助金を拡充します。プラスチックごみ・ガラス類・陶磁器類の分別収集と再資源化に取り組み、リサイクル率の向上を目指します。
防災・減災関連
市役所庁舎に浸水対策の改修を行い、断水時にも非常用発電機の冷却水やトイレ排水を確保します。菅堀護岸を整備し、大丸谷戸川排水樋門を電動化し、押立堀排水機場の高圧受変電設備交換工事を実施し、消防団消防ポンプ自動車4台を同時更新し、防災力の向上を図ります。雨水(内水)浸水想定区域図を作成して風水害に備え、地震自動開錠ボックスの新設・移設を実施して地震時に備えます。
デジタル化推進関連
地方公共団体情報システムの標準化に向けた基礎調査と移行計画策定を実施し、令和7年度までに政府のクラウド環境へ移行させます。eLTAX地方税共通納税システムに対応する税目を市税全項目に拡張して電子納税環境を整備し、クレジットカード・ATMペイジーを利用可能とします。
本年は、新型コロナ対応も4年目となり、3月13日からマスク着用が緩和され、5月8日からは指定感染症2類相当から5類への変更がされる予定です。過度に恐れず、しかし感染防止対策は継続しながら、アフターコロナのステージに向けた行動変容を目指して力を合わせてまいりましょう。
稲城市 企画部 秘書広報課
電話:042-378-2111