No.8 「大人同士の力の結集」
大人同士の力の結集
令和7年2月15日(土曜日)、稲城市立南山小学校開校10周年記念式典が挙行されました。
10年前の開校前夜の頃を思い返しますと、当時既に少子化が加速される社会状況の中、新たな学校の誕生に、多くの人々が、希望と期待を抱いていました。市立小学校11校から先生方が協力し、新たな学校の運営が円滑に進むよう、教育課程や、生活指導、保健指導のプランを作成、このように、学校関係者も皆で、開校を心待ちにしておりました。そして、平成27年4月、南山小学校は、本市12番目の小学校として開校、在籍児童18人という小規模スタートでした。間もなく開催された「第1回運動会」では、児童一人ひとりの活躍場面が多様に設定され、また、運動会を賑やかにしようと、大勢の地域の方々が競技に参加し、パフォーマンスを披露、準備や片付け等の運営にも関わってくださり、まさに、地域と学校との協働による華やかなスポーツの祭典となりました。その後10年が経ち、本校は在籍児童630人を超えるまでの規模となり、教育活動も充実の一途を辿りました。令和3年度の、キャリア教育推進による文部科学大臣表彰受賞という快挙等、めざましい教育活動充実は、地域の方々が子ども達や学校のためにエネルギーをかけてくださり、地域や社会についての学びを力強くサポートしてくださったからこそのものです。
この度の南山小学校開校10周年という機に、改めて本市全域を見渡し、一つ一つの学校が、各地域の皆様にお心を寄せていただき、熱いエネルギー結集のもと様々ご支援いただき、学校の歴史を積み重ねてきたということを、深く実感しております。
そして、令和6年度も、地域をはじめ多くの方々と学校・教育委員会が、子ども達の成長を図り一緒に取り組ませていただいた場がたくさんありました。そのうちの一端ですが、以下、最近の出来事を振り返ります。
1.「稲城市地域教育フォーラム」の開催
令和7年1月25日(土曜日)、稲城市中央文化センターホールにて開催。プログラムは、「第一部:子どもたちの成長を支える地域の団体による活動事例の発表及び質疑応答」、「第二部:講演会『子どもたちの学びと大人の意識』( 講師: 文化庁次長合田哲雄先生)と設定しました。「初開催」とPRしてきましたが、実際には、これまで継続実施してまいりました「地域教育懇談会」の「全体会」をグレードアップさせた教育イベントです。
本市では、昭和60年から、中学校ブロックごとに「地域教育懇談会」が組織され、地域や学校・園など子ども達に関わる諸団体が構成員となり、子ども達の健全育成を趣旨として情報共有・意見交換を行ってきました。各ブロックにおいては日常の活動に加え年間数回の懇談会を開催、さらに各ブロックの活動を全体で共有する場として、教育委員会は年1回、「全体会」を開催してまいりました。本懇談会が、本市の子ども達の健やかな成長に果たしてきた役割は計りしれません。しかしながら、取組内容が市民の方々へ十分に知らされていなかったり、時代の変遷とともに平日昼間開催の「全体会」への参加者が減少傾向にあったりするなど、課題も見えてきていました。そこで、令和6年度、「全体会」の名称を「地域教育フォーラム」とし、併せていくつかの改編を行いました。具体的には、各ブロックからの実践発表を全体で共有するという主たるプログラムは引き継ぎつつ、発表や質疑応答の時間にゆとりをもたせられるよう発表ブロック数をこれまでの6ブロックから3ブロックへと減らし、また、開催日を土曜に変え、さらに参加対象を「懇談会構成メンバーのみ」から「どなたでも参加可能」と広げました。加えて、参加者全員で学びを深め合えるよう、「第二部」として、教育に知見の深い専門家の先生からご講演いただくという時間を設定することといたしました。
当日、まず第一部では、一中ブロックから「地教懇の場を活用して地域をつなげたい!」、三中ブロックから「地域と子供たちとの豊かな関わりを目指して」、五中ブロックから「地域を担う人材を育む幼保小中の連携と地域の役割」とのテーマによるご発表を各20分間いただきました。それぞれ、工夫された方策により、子ども達を「真ん中」に置き、地域や社会状況を踏まえながら、深く広く関わりを深める事例が発表され、また、今後に繋がる課題提起もいただきました。続く質疑応答においても、発表者と会場との、双方向のやりとりが展開されました。そして第二部。合田先生は、ご自身の経験をユーモア交えてご紹介され会場を和ませながら、子ども達を巡る実態についてデータをご提示くださり、さらに「『問い』を自ら立て、他者と協働しながら『納得解』を出す力」「自分の頭で考え、他者と対峙する」など、これから必要な力を明確にお示しくださいました。CBT(コンピュータを活用したテスト形式)化されていく時代の授業や学習評価の在り方、社会変化を捉える視点のもち方や私たち自身の意識改革の必要性についても、深いご教示をくださいました。
参加者は昨年度から倍増、市内の皆様に加え、文部科学省その他各自治体からもご参加いただき、終了後、多くの皆様からご好評の感想を賜りました。
地域の皆様の子ども達へのご支援の実際についてより広く共有したい、そして大人同士の深い学び合いも実現したいーそんな思いから企画した「地域教育フォーラム」の第1回でした。地域教育懇談会関係者の皆様にご理解いただきましたこと、そして、当日に向け発表や運営のご準備をいただきましたこと、深くお礼を申し上げます。
2.「不登校対応合同報告会」の開催
令和7年1月29日(水曜日)、稲城第四中学校にて開催しました。
稲城市立学校各校では、登校できなくなっていたり教室に入りにくくなっていたりする児童・生徒への適切な個別支援、また児童・生徒が登校したくなるような魅力ある学校づくりのため、様々工夫し取り組んでいます。そのような中、令和6年度、東京都教育委員会から、稲城第四中学校は「不登校対応加配教員配置校」の指定を、稲城第二中学校は「不登校対応巡回教員配置校」の指定を受けました。両校は、この機会を最大限に生かし、また指定校としての責務を果たすべく、本市としての不登校対応の推進を図ってこられました。
今回の報告会では、まず、今年度の、稲城四中の取組と、稲城二中所属の巡回教員の各校巡回における実践が報告されました。ご臨席くださいました東京都教育庁指導部の担当指導主事からは、特に、「『別室』において生徒の自己選択を尊重している点」について、高い評価をいただきました。
その後、参加者間のグループ協議が行われ、「子ども達一人ひとりの活躍場面が保証された教育活動の工夫」や、「『別室指導』を中心とした具体的方策」、またそれぞれの立場や視点からの思いや考えについて、活発な協議が行われました。
当日は、本市立学校教員、さらに学校運営協議会メンバー等地域の方々が多数参加くださり、家庭からの視点、現実社会からの視点など、多方面からの意見交換ができました。また、教育委員会からは、学務課長、学校給食課長が、市からも子ども福祉部長、児童青少年課長、子ども家庭支援センター課長が参加し、児童・生徒の成長に関わる立場として、皆様と一緒に学ばせていただきました。
この2事業は、子ども達の育成や教育課題について、様々な立場の方々が一緒に、言わば「ごちゃまぜ」になって共有する機会となりました。これらは、子ども達の学びと成長を実効性をもってサポートすることを目指した場でしたが、そのために集結した大人自身も考えを深め合い、アクションやムーブメントの意義を実感いただけたのではないでしょうか。そしてこのような姿は、長年にわたる本市の地域と学校との協働連携が培ってきた成果であり、本市ならではの強みと言えるのではないでしょうか。
より多くの大人が関わり合うことは、何よりも、子ども達の将来の生きる力に繋がります。市内では、既に地域の各団体の方々等のご尽力のもと、子ども達のための様々な活動が展開されており、心から感謝を申し上げます。教育委員会も、今後さらに皆様の力強いパワーとのコラボレーションを進められるよう、教育施策に工夫を重ねてまいります。稲城市の子ども達が、安心し希望をもって歩んでいけるよう、引き続きよろしくお願い申し上げます。
稲城市教育委員会教育長 杉本真紀子
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