No.9 「稲城から世界へ!『グローバルスタディ』の推進」
稲城から世界へ!「グローバルスタディ」の推進
「稲城市の子ども達に、次代に活躍する力を付けてほしい」―令和5年3月の就任以来、私が常に抱いてきた思いです。
今号では、この実現を目指した令和6年度までの取組と、その中で得た視点に基づく令和7年度の教育施策について、お伝えします。
発信力の向上
本市立学校では、長年、ESD(Education for Sustainable Development)(「持続可能な開発のための教育」)推進を教育活動の柱とし、「環境」「国際理解」「人権」「防災」等を題材とし、地域の方々の温かいご指導ご支援をいただきながら、体験活動や探究活動を通した学習に取り組んでまいりました。さらに近年は、SDGs(Sustainable Development Goals)(「持続可能な開発目標」)達成のための資質を培うことを主眼に据え、さらなるESDの充実を図っているところです。
学校における教育活動は、これからの社会を担う子ども達を育成するとの使命から、社会情勢を見据えながらアップデートしていくことが重要です。ESDにつきましても、教育委員会では、常に時代に即した取組方法の開発について研究してまいりました。
このような経緯の中で、令和6年度、稲城市は、一般財団法人ピースコミュニケーション財団との共催により、「国連を支える世界こども未来会議 in INAGI」を初開催しました。実施当日の8月30日、各小学校から選出された第6学年児童2名ずつ、計24名の子ども達が、地域振興プラザ内会議室に集合、異なる学校の初対面同士、4人ずつのグループを組み、「住み続けられる未来の稲城市」をテーマに意見を述べ合い、グループごとに考えをまとめ、その後、市議会本会議場に会場を移し、各グループのプレゼンテーションを行いました。
「議場」という場での発表・質疑応答という体験は、子ども達にとって、自らが社会を動かす原動力になっていこうという志向を高める貴重な機会だったと思います。そして、教育委員会でも、この新たなチャレンジにより、今後の本市ESD充実に向け、自ら何ができるかについての考察、個の考えの確立、多様な相手に対しての発信力、さらに教室に限らず多様な場での発言力等、新たな方策の有効性を見出すことができました。
その後の令和6年度後半、各学校では、秋季や冬季の学芸的行事等、様々な教育活動において、児童・生徒が自らの制作物や体験活動について、説明やプレゼンテーション、ポスターセッションを行うなど、個々の発信力が披露される場面が見られました。私は、それら一つ一つの取組について、「持続可能な社会の創り手」となる資質が確実に培われているとの意義を確信してきたところです。このような取組を継承発展し、令和7年度、さらなるESD充実を目指してまいります。
英語力の向上
これからの時代は、世界規模の視点から社会課題を捉え、多様な人々と協働連携する姿勢と力が大切です。稲城市の子ども達には、世界の人と自信をもって渡り合えるスキルとコミュニケーション能力を培ってほしいと願っています。
私は、この数年の間に、アメリカとフィンランドの教育施設を訪問する機会を得ました。その際、アメリカでは当然のことながら、英語を母語としないフィンランドでも、英語を流暢に操る現地の方々と対面し、訪問趣旨である教育論・教育観を即座に語り合うことができず、「英語弱者」であることは何と不利なことかと、痛感しました。そのような苦い体験を経て、その後、教育長となり、稲城市の子ども達に目を向けますと、今度は、一つの希望を見出しました。令和5年7月、姉妹都市・フォスターシティ市のサッカーチームのメンバーをお迎えした本市の児童・生徒が、英語とジェスチャーを交えながら、国際的なアーティストの話題や、昔遊び、スポーツ等を通し、笑顔で伸び伸びとコミュニケーションをとっているのです。
そのような子ども達の姿に後押しされ、令和6年度、まず、中学生が日常生活の中で外国人と触れ合う機会を充実しようと、東京外国語大学大学院を中心とした外国からの留学生による学校訪問の機会を設定、生徒と留学生が気軽に会話するなどの交流活動を始めました。各中学校では、留学生の方々から、まだ見ぬ国についての魅力的な物語を聞かせていただいたり、中学生からも校外学習や職場体験での学びについて留学生に説明したりするなど、工夫した取組を展開くださいました。
そのような成果を確認しながら、教育委員会では、校長・副校長先生方にも同行いただき「英語先進地域」と言われる自治体の視察等、研究を重ね、令和7年1月には外国自治体との教育交流協定を締結、さらに、令和7年度は、ALT(外国語指導助手)を増員し、市の第1種会計年度任用職員として採用、加えて、生徒と講師との「一対一」のオンライン英会話の機会を作ることとしました。ALTは、勤務日には、一日7時間30分在校します。その時間の中で、コミュニケーションが苦手な児童・生徒も、また、オンライン等を活用し在宅でも、全ての子ども達が英語によるコミュニケーション活動に取り組めることを目指しています。
「グローバルスタディ」の推進
このようなESDと英語教育の新たな充実を計画していた令和6年度末、Tokyo Innovation Base にて、「国連を支える世界こども未来会議」の全国大会が開催されました。参加者は、全国各地の大会での代表児童及び世界各国から参加した子ども達、計96人。本市からも、昨年8月に実施した「in INAGI」(稲城大会)にて最優秀グループとなった、当時市立小学校第6学年の児童4名が代表として参加しました。子ども達は、稲城大会と同じく、初対面同士のグループを編成し、「気候変動への対策」及び「平和と公正」をテーマに、その実現のための方策について話し合い、発表パネルにまとめ、プレゼンテーションを行いました。
日本語と英語が飛び交う会場、地域を越え国境を越え、「環境」「平和」という社会課題についての協議、熱気溢れる会場は、まさに「国際会議」です。彼ら彼女らが、これから大人に成長し、国際舞台で英語を共通語として駆使しながら活躍する姿が目に見えてくるようで、改めて、稲城の子ども達に、持続可能な社会づくりの方策を探究し、言葉の壁を乗り越えて自らの考えを多様な相手に発信する機会を充実させていきたいとの思いを強くしました。
令和7年度、教育委員会は、「稲城から世界へ!『グローバルスタディ』の推進」をキャッチフレーズに、発信力に重点を置いたESDと、英語力向上に、取り組んでまいります。保護者、地域の皆様も、そのような子ども達の姿を見守ってくださいますようお願い申し上げます。また、ALTによる授業以外の取組・イベントも企画いたしますので、どうぞご参加ください。
稲城市教育委員会教育長 杉本真紀子
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