No.11 「広く、豊かに、しなやかに」
( 稲城市の教育「イエール」 11月15日 第7号掲載 )
広く、豊かに、しなやかに
「まだない未来の仕事を考えよう」ーこのような問いを投げかけられたら、あなただったら、どんな「仕事」を創り出しますか?
この課題に、8月6日・7日、「EXPO 2025 大阪・関西万博」の会場内で開催された「FUTURE SUMMIT 国連を支える世界こども未来会議」に集まった子ども達が取り組みました。このイベントには、昨年度の「世界こども未来会議」(一般社団法人 ピースコミュニケーション財団と各自治体の主催)において、稲城市からの代表生徒(本市代表4名は昨年度小6生、現在は中1生)を含む、各地区大会の最優秀グループとなった子ども達が出場しました。子ども達は、本年3月の「全国大会」後、地域を越えて4人グループを再編、約4か月をかけリモートによるグループワークを重ね、課題への解決策を創り出し、万博当日、この場に臨んだのです。
「AIとロボットが共存しながら宇宙開発をするため、ロボットのプログラマー、ロボットを作る人、政府や企業と話し合いをするチームメンバー、AIを活用し決断する人材が必要である。」―発表された提案の一例です。このチームは、「世界の人口は増え続けている」→「農場や都市を建設しなければならない」→「人間の住める場所を広げたい」、という過程を踏みながら、宇宙開発を実現させる「新たな仕事」を発想したのでした。
このように、当日は、世界から集まった子ども達から、未来の世界に向けた様々な提案がなされました。いずれのグループも、「今社会に不足しているものは何か」「今不便なことはどんなことか」に視点を当て、その解決策を生み出す中で、新たに人間が活躍すべき分野を見出し、「今はまだないけれど将来の社会をよくしていく仕事」を提案したのです。社会課題を踏まえた上で今後の動向を捉え、課題解決のために世の中には何がプラスとして必要かに着目し、グローバルな視点をもった全体像と、実現のための具体的プロセスというしっかりとした構想に基づく、ビジュアルで見事な発信の数々が披露されました。
子ども達の発想と視点に感動しながら参観を終えた私は、「将来の進路を、今ある職業の中からのみ選択する時代は終わった」との思いを深めながら、帰京の途に就きました。
また、この万博イベントの後、8月21日( 木) 、本市では、今年度の「世界こども未来会議 in INAGI」を開催しました。テーマは、昨年度と同じく「住み続けられる未来の稲城市」です。
各市立小学校から2名ずつ選出された第6学年児童計24名の皆さんが、異なる学校の初対面同士で4人グループを編成し、意見交換や合意形成を経て創り出したアイデア集です。この作業においては、まず、グループ内で各自が「大切にしたい価値観」を発表し合い、各グループに付いてくださった「コミュニケーション・サポーター」の方々の支援を受けながら、各自のアイデアの共通項を見出したり新たな策を生み出したりしながら、グループとしての具体的方策を創り出しました。
今夏開催した、「世界こども未来会議」に関連するこれら2つのイベントでは、子ども達が、社会や世界に視点を当て、人々がさらに過ごしやすくなるための方策について思考を巡らせ、新たなチャレンジについて提案する姿がありました。現実の「枠」を超え、未知の分野を開拓していこうというクリエイティブな発想力は、これからの「VUCAの時代」と言われる「予測不可能な時代」に必要とされ、活躍する、重要な資質と言えるでしょう。稲城の子ども達が、視点や考えを広げ、新たなものを生み出す創造力、企画力、柔軟性をもち、広く、豊かに、しなやかに、物事に対応できる資質を備えてほしい、といったことを考えながら、夏の終わりを迎えました。
その後、8月末、稲城市教育委員会は、「稲城市 学校・乳幼児施設 管理職&リーダー研修会」を開催、「非認知能力の育成から幼保小中の連携についてから」をテーマに、本市の子ども達の成長を図るという共通の目標をもつ、各園と各学校のリーダー層の教職員が一堂に会し、学び合いました。講師は、奈良県三宅町立三宅幼児園長を務められている徳留宏紀先生です。公立中学校・海外の高等学校での教員経験をもち、現在は就学前の子ども達を育成され、また、「非認知能力」について全国的に活躍中の徳留先生から、「未来を見据えたときに本当に必要な、客観的な数値で測ることができない力」として、「コミュニケーション能力」「自制心」「レジリエンス」「向上心」「自尊感情」「柔軟性」をお示しいただき、伸長させるための方策等、貴重なご教示をいただきました。
教育委員会は、今後も引き続き、「これからの時代に活躍する力」に視点を据え、子ども達の活動の充実とともに、大人の間でも研鑽を深め、実践に繋いでまいります。
同時に、私達大人同士も、広く、豊かに、しなやかに、自らの人生を歩みつつ、子ども達を見守り支援していきたいものと思います。
稲城市教育委員会教育長 杉本真紀子
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