No.10 「一人ひとりの活躍と社会の形成」

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ページID1012817  更新日 令和7年8月12日

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一人ひとりの活躍と社会の形成

 令和7年度の暦も、1学期から2学期へと向かっています。今号では、夏休み前までの教育委員会や各学校の取組から考えてきたことを、述べたいと思います。


 4月下旬、稲城市教育委員会は、稲城市立学校全教職員を対象に、「令和7年度人権教育研修会」を開催しました。各学校では、年間を通し、「特別の教科 道徳」をはじめ、教育課程内外を問わず、学校生活のあらゆる場面において、児童・生徒が、自他を大切に思い尊重する姿勢と実践力を培うよう人権教育に取り組んでいます。また、教職員は、日々の生活において、児童・生徒が安心し希望をもって過ごすことができるよう、常に人権の重要性を意識しながら、指導・支援を行っています。
 そのような、人権についての感覚や意識は、必要な瞬間に、間髪入れず発揮されることが大切であり、そのためには常に人権について意識するとともに、鋭敏な感覚を磨き上げる努力が必要です。加えて、時代とともに新たな人権課題が生じることから、常にアップデートを図ることも大切です。この考えを基本に、稲城市教育委員会は、毎年、年度当初に、稲城市立学校全教職員を対象に、「人権教育研修会」を継続実施してきました。また、多様な視点に基づき人権課題について考察できるよう、年ごとに、様々な分野から講師をお迎えしています。
 今年度の「人権教育研修会」は、4月25日(金曜日)、パラサイクリスト杉浦佳子さんを講師として開催しました。杉浦さんは、稲城市ご在住。2017年・2018年と続けて世界選手権にて優勝、さらにパラリンピックでは、東京2020大会・パリ2024大会の、2大会連続金メダリストです。これらの輝かしい実績から、稲城市では、昨年、杉浦さんを、稲城市ホームタウンアスリートとして認定、さらに市民栄誉賞をお贈りしました。
 当日のご講演では、「共生社会の実現」を演題として、杉浦さんご自身がこれまでの道のりの中で、どのように自信や希望をもって歩んでこられたかについて、また、多様な人々が一緒に社会を形成していくことの価値について、丁寧にお話しくださりました。この日の杉浦さんのお話から、私は特に、「全ての子ども達一人ひとりが、必ず何らかの可能性を秘めている」ということ、そして「それを開花させるよう、よさを信じ、認め、応援していかなければ」との思いを深め、さらに、「社会の中で、人々が互いの強み弱みを理解し支え合うこと」の大切さを受け止めました。


 直後の5月の定例校長会の「教育長挨拶」において、私は、この研修会で得たこれらの価値観を校長先生方に投げかけ、さらに、1学期間の学校訪問の際には、この視点をもって、校内で見られる様々な光景を参観してきました。
 全18校を訪問した「年度当初訪問」。校舎内の、児童・生徒の絵画作品や造形作品の丁寧かつビジュアルな掲示・展示からは、子ども達の努力を大切に想う教職員の姿勢が感じられました。各教室内の、係活動や当番活動が記載された掲示物からは、仲間の役割を認め合う学級づくりがなされていることを感じました。さらに、各学校では、教室に入りにくくなっている児童・生徒のための居場所づくり設置の工夫、ユニバーサルデザインの視点を重視した教室環境や授業づくり、児童一人ひとりを複数の教職員が連携して支援する小学校での「副担任制」や「誰でも相談週間」の取組、といった学校経営がなされていました。
 また、ある小学校では、授業中、一人の児童が誤った解答を発言した際、それを我先にと正そうとする周囲の子ども達を教師は毅然と制するとともに誤った解答をした児童にヒントを示し、学級全体が応援する態勢となり、当該児童はついに正答を導き出すという場面に出会いました。まさに、大人の姿勢が子ども達の人権意識を育てているという実態を目の当たりにした瞬間でした。


 5月から6月にかけては、市立学校18校中の8校において運動会・体育祭・体育大会(体育発表会)が開催されました。子ども達がそれぞれの得意分野において力を発揮できるよう工夫された種目・演目の設定、係活動による子ども達の活躍、仲間を力いっぱい応援し合う姿など、どの学校でも、どの場面でも、一人ひとりが、それぞれの方法で活躍していました。その中でも、特に私は、上級生の競技種目に審判・ジャッジを担う中学生の姿が目に留まりました。学年の上下に関わらず自らの役割を果たすことにより、生徒は、自らが責任をもち、力を発揮し、仲間とともに社会を形成していくという姿勢を培っているということを、確認しました。


 その後、夏休みに入りました。休み中には、ご家庭や、子ども達を見守りご支援くださる地域の団体等の皆様が、それぞれの子ども達に、長期休業中ならではの活動や学びの機会をくださったり、成長の糧となるお声掛けをくださったりしていることと思います。それらの体験の意義を、夏休み明けには児童・生徒同士、また各学級等において共有し認め合い、2学期からの成長に繋げていければと思います。
 一人ひとりが、自分らしさを存分に発揮し、サポートし合う、このことを仲間とともに実体験し、学び合い、身に付けていくことは、学校という場の大きな役割です。2学期は、中学校修学旅行、学芸会や学習発表会等の文化的行事、小学校での運動会等、一人ひとりが力を発揮し合い、新たな価値を発見し、思いや技術を表現する機会がたくさんあります。一人ひとりが伸び伸びと力を発揮し、他者と支え合いながら、社会を形成していくという実感を得る機会が、たくさんつくられることを願います。そのために、学校は、一人ひとりが認められ、互いに尊重し合う学級・学校づくりの実現を、今後も目指してまいります。


稲城市教育委員会教育長 杉本真紀子

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