No.14 「一人ひとりの歩みに寄り添う」

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ページID1014353  更新日 令和8年9月12日

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( 稲城市の教育「イエール」 9月15日 第10号掲載 )

一人ひとりの歩みに寄り添う

 7月末、私は職員と一緒に、いくつかの市内施設を回りました。学校は夏休み中です。
 まず、稲城第五中学校へ。「チャレンジクラス」の教室を訪ねました。夏休み初めに着手した床の張替工事完了を確認し、そこで先生方から、1学期末には工事開始に備え在籍生徒の皆さんが協力し合って机や椅子を運び出してくれたとのお話を伺いました。
 「チャレンジクラス」は、教室に入りにくくなっていたり学校に通いにくくなったりしている稲城市立学校の中学生を対象とした東京都版「学びの多様化学校」として、今年度、稲城市教育委員会が稲城第五中学校施設内に開設しました。生活時程や学習方法について柔軟な設定をし、生徒が無理なく通学できるような工夫がなされています。「チャレンジクラス1期生」となった生徒の皆さんは、1学期の間、地域行事に参加する五中生のためにTシャツ製作に取り組み共同作業の大変さを経験するとともに地域との繋がりや地域貢献の喜びを実感したり、自作の絵画を見せ合って互いに賞賛し合ったり、五中構内花壇の手入れ作業を担当するようになったりと、仲間と関わり合いながら体験の幅を広げてきました。また、「キャリア教育」の一環として市立図書館職員から生き方に関する書籍を紹介してもらうなど、校外の大人との交流活動の機会も得てきました。さらに、チャレンジクラス担任の先生方も、学校施設内に設置されているという利点を生かし、通常の学級での授業の様子を日常的にリサーチし指導法研究に繋げ、より質の高い学習活動を提供できるよう努めています。このような好スタートを切ったチャレンジクラスの、明るくリニューアルされた教室を見渡しながら、私は、生徒の皆さんには2学期もこのクラスでの生活を大いに楽しんでいただきたいとの思いを深くしました。
 次に、4つの市立図書館分館を巡回しました。市立図書館分館は、いずれも7月15日に中央図書館とともにリニューアルオープンし、学習・閲覧スペースを拡充させたところです。学校の夏休み期間となり、中央図書館も4つの分館も共に、子どもたちや学生の来館が増えたと聞き、私は当日、その様子を確認いたしたく、4分館を巡回したというわけです。それぞれの分館では、水筒持参の小学生、友達同士一緒に勉強する中学生の姿などがあり、さらに、小学生とお母様が、本市スクール・ソーシャル・ワーカー(SSW)と児童書コーナーにて待ち合わせし、お話されている場面にも出会いました。このように、身近な心地よい居場所として市の施設を活用いただいていることを心から嬉しく思いました。
 当日は最後に、稲城市教育センターへと向かいました。まず3階の教育支援室「梨の実ルーム」の先生方にお会いし、1学期の学習の様子について聞きました。7月にはALT(外国語指導助手・本市では市の会計年度任用職員として採用しています)が来室し、子どもたちと「百人一首」等を使いながら英語によるコミュニケーション活動を楽しんだと伺い、通室する子どもたちに多様な体験機会を提供するよう取り組んでいることを確認しました。
 そして、4階の教育相談室・特別支援教育相談室へ。教育相談については今年度から一部を民間機関委託とし、新たな相談スキルや手法を備えた民間機関相談員と市採用相談員が机を並べ、技術や情報を共有し切磋琢磨しながらより質の高い相談対応を図っているところです。その結果、1学期の間には、オンライン等の手法を駆使しながら、より相談しやすいシステム開発も実現させてきました。
 さて本市では、子どもたちの、学校生活や日常生活、登校しにくい・教室に入りにくいといった悩みに対応する場として、教育相談室、教育支援室「梨の実ルーム」、校内支援センター別室支援)、チャレンジクラスといった場の設置を進めるとともに、スクールカウンセラー、SSW、不登校対応巡回教員配置といった人材配置にも取り組んできました。子どもたちの実態に沿うことができるよう、常に研究と検討、工夫を重ね、また国方針も踏まえながら、対応してきています。そして、そのように努めれば努めるほど、それぞれのニーズや特性がある個々の子どもたちを、既に設定された各機関や支援の場の中にカテゴライズできるものではないということの認識を深めております。だからこそ、多様なニーズの一つ一つに対応できるよう、窓口としての教育相談の充実を図るとともに、既設の場において、外部支援を得たり学習プログラムに工夫を凝らしたり、また、図書館等の場を柔軟に活用するなど、ソフト面での充実を図ることこそが大切であり有効であると考えます。そして、学校と教育委員会事務局職員は、日々、保護者の方々をはじめとして専門機関や様々な連携先と相談し、自らも研鑽を続けてきております。
 教育改革の中心の柱として「誰一人取り残さない」というコンセプトが大きく発信され多くの人がその大切さを共有しているところです。このことの実現には、全ての子どもたちが一人の成長しつつある存在であることに視点を置き、一人ひとりの状態に沿い、多様なリソースを活用しながらの支援・サポートこそが大切であるとの理念をもつことが重要と考えます。
 この2学期も、各学校で、学級で、それぞれの教室やいろいろな居場所で、稲城の子どもたちがそれぞれのペースで一歩一歩成長していかれますことを願っております。

稲城市教育委員会教育長 杉本真紀子

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