No.165 稲城市立中学校の部活動に関する方針
本市では中学校の部活動に関する地域連携・地域展開について、学校現場での生徒・教職員アンケートや部活動実態調査を実施し慎重な議論を重ね、このたび教育委員会において「稲城市立中学校部活動に関する方針」を策定しました。この方針に至るまでの経緯と考え方を報告します。
国・東京都の動向とこれまでの対応
文部科学省・スポーツ庁・文化庁では、教員の長時間労働是正・生徒にとってより多様で質の高い活動機会の確保といった課題に対応するため、令和4年12月に「学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドライン」を策定しました。この通知では令和5年度から令和7年度までの3年間を改革推進期間と位置付け、特に休日の部活動について段階的に地域移行を進めることが示されました。
これを受けて東京都では令和5年3月に「学校部活動の地域連携・地域移行に関する総合的なガイドライン」及び「学校部活動の地域連携・地域移行に関する推進計画」を策定し、市区町村においてこの計画を参考に取り組みを推進するよう指示しました。
本市においては、平成29年4月に「稲城市立中学校部活動に係る方針」を策定しておりました。部活動に一定の意義を認めつつも教育課程外の活動であり、教員の負担軽減や持続可能な運営体制について具体的な改革への取り組みには至っておりませんでした。
今回の国・都の通知も踏まえ、部活動においては生徒の健やかな成長を支え、教員の負担を軽減し、持続可能な在り方を確立することが喫緊の課題であることは認識しています。しかし、地域移行を提起した国が、地域クラブ等の受け皿整備・費用負担、既存の学校部活動との関係や上部大会への出場条件等について課題整理のないまま3年間の期限付きで地域移行を強行しようとしたことは到底納得できるものではなく、全国市長会から懸念を申し入れ、3年間の推進期間を撤回させ強制的な「地域移行」ではなく「地域展開」に変更させた経緯があります。
稲城市の基本的な考え方:教員の負担軽減と学校部活動の維持の両立
全国的に様々な方法で検討が進められており、中には令和7年度末をもって部活動を全部廃止するような極端な例もあるようです。
本市では、学校単位の部活動を直ちに全廃して地域クラブ活動へ移行するという道は選択せず、教員の負担軽減を図りつつ外部指導員等の強化を進め、基本的に学校単位の部活動を保持していくこととします。その上で、学校ごとの部員数や指導体制に応じて「単独部活動・合同部活動・拠点校方式部活動・地域クラブ展開」といった複数のパターンを設定すると共に、持続可能な体制を構築していくこととします。
この判断に至った背景には、次の理由があります。
(1)生徒にとっての意義を重視
学校部活動は、教育活動の一環として学年の枠を超えた人間関係を築き規律や協調性を学ぶ等、生徒の健全な発達に大きな役割を果たしてきており、この教育的な意義を最大限尊重します。
(2)地域移行の課題
全ての種目において活動の受け皿となる団体・指導者を確保することは困難です。性急な移行は、活動の機会を失う生徒を生み出すリスクがあり、月謝の発生等費用負担の課題もあります。
(3)教員の負担軽減の確実な実行
教員の負担軽減は必須の課題ですが、顧問業務には学校に起因する生徒指導の要素もあり、単純に全部を外部委託することは問題もあります。技術的な指導体制を強化しつつ教員の顧問業務と分業・連携することが最も現実的かつ早期に効果を発揮すると考えます。
市の具体的な取り組み
市では、平成2年4月から地域人材を部活動に参画していただく「外部指導者A」の制度を開始し、令和4年10月から企業版ふるさと納税の財源を活用し技能・技術を有する「外部指導者B」の制度を開始しました。今後は地域との連携を深め、地域と学校が協働して部活動を支える体制の構築を目指します。
今回の方針では、学校部活動が持つ教育的な価値を大切にしながら時代の要請である教員の働き方改革を実現する二刀流での問題解決を目指し、生徒がより充実した活動を送るための最善の道を模索してまいりますので、市民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。
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