No.117 自治体新電力会社の設立に向けた協定締結
更新日:2021年9月12日
令和3年8月25日、稲城市とパシフィックパワー株式会社との間で「(仮称)稲城市新電力会社による地域エネルギー事業の共同検討のための協定」を締結しました。
この協定は、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、再生可能エネルギー等の調達や供給を行う「自治体新電力会社」を立上げることについて、共同検討をするためのものです。
従前の電気は「一般電気事業者」という地域独占の大手電力会社から供給を受けていましたが、平成12年3月から段階的に小売自由化がなされ、平成28年4月1日からは小売全面自由化が実施されました。
この自由化に伴って新規参入した企業が「新電力会社」と呼ばれる特定規模電気事業者(PPS:Power Producer and Supplier)で、現在730の事業者が登録されています。
現在の電力供給システムは、発電事業者、送配電事業者、小売電気事業者に分離されており、新電力会社は小売電気事業者に該当します。
新電力会社は、発電事業者や日本卸電力取引所(JEPX)から仕入れたり、自ら所有する発電設備で発電した電気を消費者(需要家)に販売しますが、送配電設備は所有していないため、託送料という使用料を払って送配電事業者の送電網を利用し、需要家に送電しています。
一連の電力自由化は、市場競争原理を導入して、地域独占であった電気事業への参入規制を緩和し、電気料金を下げることを第一の目的としています。
そして、その後に起こった東日本大震災による原子力発電所の事故で電力の安定供給が困難になったことから、多様な発電事業者の参入を促す目的もあります。
さらに、経済的な動機のみではなく、環境に配慮した電力の普及を促すという目的にも合致したものとなっています。
こうした自由化の中で、自治体が出資する地域新電力事業が起こり、その主体となる自治体新電力会社は、全国で50社以上となってきました。地域新電力事業に明確な定義はありませんが、おおよそ「地域振興の目的で地域主体が地域特性を活かした形で行う新電力事業」とされており、太陽光をはじめとする再生可能エネルギーで発電した電力の供給をしています。
稲城市においては、令和3年度事業として、市が出資して(仮称)稲城市新電力会社を設立できるかどうか、検討することとしています。
この目的としては、市内のエネルギー資源を有効活用することで、二酸化炭素排出量の削減を図り、エネルギーの地産地消を目指すこと及び市外に流出していたエネルギー資源を地域に還元し営業利益を循環させて地域振興を図ることとしています。
これまでパシフィックパワー株式会社とは、平成31年度から共に勉強会を実施し、採算性のシミュレーション等の調査研究をしてまいりました。
そして今回、会社設立を目指し、さらなる実現可能性の検討へと進めるため、協定を締結したものです。
現時点で会社設立と事業実施が確定したものではありませんが、仮に事業が現実のものになったとすると、稲城市が進めている「地域循環共生圏の実現」や「SDGsの実践」に対して大きな一歩となりますので、引き続き実現に向けた努力をしてまいります。
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